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2000年6月の Favorite !! は

NEW YORK


セントラル・パーク内『IMAGINE』の碑


2000 年 5 月、ニューヨークへ行ってきました。初めての海外旅行、なにもかも目新しく新鮮で、たったの一週間でしたがニューヨークでの滞在をおおいに楽しんできました。あえていわゆる観光地へはあまり足を運ばず、ニューヨーカーの生活を味わいたくて近くのスーパーや文房具屋へ買い物にいったりして過ごしました。

そんな中、なにが一番おもしろかったかといえば観光でもショッピングでもなく、日本人とは違うニューヨーカーたちの行動でした。今まで島国で育ち、一度も(沖縄以外)海を渡ったことのなかった私には彼らのなすことすべてがときにはおもしろく、ときには不思議で、ときには恐くもありました。初めての海外に、憧れの地ニューヨークへ行ってこられたのはラッキーでした。

そんな世界の中心地ニューヨークで nami が感じたこと、体験したことをお送りします。
(なお、ここで言う『ニューヨーカー』とは私がニューヨークで出会った人々のことで、すべてのニューヨーカーにあてはまると言うわけではないかもしれません。あしからず)








ニューヨーカーは信号を守らない
ニューヨーカーは礼儀正しい
ニューヨーカーのファッションは自分流
ニューヨーカーは大ざっぱ

ニューヨーカーの基本は「おかまいなし」








ニューヨーカーは信号を守らない

 私が滞在したホテルはニューヨークのマンハッタン島の中程にあるミッドタウンという地区にありましたので、どこへ行くにもとても便利でたいがいは歩いて移動しました。マンハッタン島はとても区画整理がいき届いていて、みごとに碁盤の目のように縦の通り(アベニュー)と横の通り(ストリート)が交差しています。
 交差点ではみな「WALK」「DON'T WALK」に関係なく車が途切れると横断します。都合のいいことにほとんどの通りが一方通行なので歩行者はどちらか一方だけ注意して渡ればいいようになっているのです。私も、最初のうちは「WALK」にかわるのを待っていましたが、周りの人は「DON'T WALK」でもぜんぜんおかまいなしに横断していくので、自分だけ正直に信号がかわるのを待っているのもばからしく、すぐに周りの人と同じように横断するくせがついてしまいました。

 これだけ歩行者が信号を無視しているのに交通事故があまりおこらない(詳しい件数など知りませんが)理由の一つは、歩行者が渡り上手なの以上に運転者が避け上手というのもあるでしょう。しかしながら、車の方も遠慮がちに運転しているわけではありません。なにせ、ニューヨークのタクシーは別名ジェットコースターと言われているくらいですから、ニューヨークを行き交っている車がどのような運転をしているか想像がつくでしょう。
 すごいのは運転だけではありません。クラクションのならし方が半端じゃないのです。日本でクラクションを使う場合、「プッ」とか「プップッ」とか短くならすのが一般的ですが、ニューヨークでは数秒間ならし続けるのが普通のようです。しかもとても頻繁にクラクションをならします。前方に歩いている人がいると遠くからクラクションをならしながら走ってくるのです。車どうしでもちょっと進路妨害されただけでまたもやクラクションの嵐。あちらこちらでしょっちゅうなっているクラクションの音が日本に帰ってきた今でも耳に残っているくらいです。

 しかし、歩行者はクラクションをならされることにも慣れていて、びくびくしているのは日本人観光客くらいです。きっと、私達には「どけどけー!!」と言っているように聞こえるクラクションも、ニューヨーカーにしてみれば「ちょっとお退きなさいよ」くらいに聞こえるのでしょう。



ニューヨーカーは礼儀正しい

 人にぶつかったりしたとき、「すみません」という意味で「Sorry」と英語でいいます。
 ニューヨーカーたちは、ちょっとカバンの角が誰かにあたっただけでもきちんと相手に「Sorry」といいます。若いにいちゃんでもちゃんと「Sorry」といいます。これはちょっとびっくりしました。日本ではちょっとカバンがこつんとあたったくらいだったらぺこっと頭を下げるくらいで「すみません」ときちんと相手に向かって言わない人が多いと思います(私も含めて)。
 ニューヨーカーたちは意外と(失礼)礼儀正しいのです。日本人は礼儀正しいと一般的に思っていましたが、「Sorry」に関してはニューヨーカーのが礼儀正しい。

 それから例えばエレベーターに乗ろうとして同時に踏み込んでしまったような場合、日本人は無言で一歩下がって「お先にどうぞ」という態度を示しますが、ニューヨーカーは手振りとともに「Go ahead」(お先にどうぞ)ときちんと相手に言葉で伝えます。

「Sorry」。慣れない街で私は幾度となく人にぶつかってその言葉を何度も使ったおかげで、日本の空港に降り立ってからもつい「ソーリー」と口走っていました。



ニューヨーカーのファッションは自分流

 今回の旅行中、私は自分に少々うんざりしたことがあります。
 着いて三日目、現地のJTBが日本人観光客向けにやっている一日N.Y.ツアーなるものに参加しました。私は、最近日本で流行っているインディゴブルーのGジャンを着ていました。ツアー客は30人あまりでしたが、私と同世代の女の人4、5人中4人も私とまったくそっくりなインディゴブルーのGジャンを着ていたのです。さらにはGジャンをペアルックにしているカップルなどもいました。同じ格好をした同じ年代の人がぞろぞろとかたまって歩いている姿に、楽しい旅行も少々興ざめ気味なのでした。

 そんな日本人にくらべ、ニューヨーカーたちはとても個性的です。といっても、それは日本人のファッション感覚からしたら少々古臭かったり派手すぎたり、あるいはちぐはぐだったりするかもしれません。しかし、そんな周りの目はおかまいなしなのがニューヨーク流。そして私には、みんなと同じ物を着ている私達よりもよっぽど個性的でその人らしく見えました。

 日本の雑誌やテレビ番組などで紹介されるニューヨークしか知らなかった私は、とってもトレンディーな街を想像していて、あちらへ行ったら洋服やらバッグやら買いたいなーなどと思っていたのですが、けっきょく流行りの洋服は日本で買うのが一番と気付いたのでした。

 ニューヨークに住む私の知人は、日本にいるよりも服にお金をかけなくてすむようになって楽だ、と言っていました。流行を追わなくていいから、毎年新しい服を買う必要がないそうです。たしかに、渋谷を歩いていれば今日本で何が流行っているのかすぐに分かりますが、ニューヨークを歩いていても今アメリカでどんな服が流行っているのか分かりません。
 おしゃれはしても流行には流されない、自分流。それがニューヨーカーたちのファッションなのでした。



ニューヨーカーは大ざっぱ

 日本人の中で一番多い血液型はA型ですが、アメリカ人で一番多いのはO型だそうです。それが関係しているのかしていないのかは定かではありませんが、ニューヨーカーはかなり大ざっぱです。

 雑貨屋で割れ物を買うと、レジのお姉さんはニコニコしながら大きなわら半紙に、ものすごい適当に商品をくるっと包んでくれます。そして日本のスーパーの袋とは比べ物にならないようなよれよれで質の悪いビニール袋にどさどさ商品をつめてくれます。商品の量によって袋の大きさを変えてくれるようなことはしません。「大は小を兼ねる」の精神です。
 洋服を買う場合、日本との違いがもっと顕著です。日本の場合、商品をレジに持っていくと、きれいにたたまれ一度薄手の紙にきれいに包んでからきちんとテープでとめて紙袋に入れ、さらに紙袋の口をお店のシールで閉じてから持ち手をお客さまに持ちやすい様くるっとひとまとめにして渡してくれたりしますよね。文章にするとこんなにも長くまどろっこしい作業を、店員さんは慣れた手付きでお客さまがお金を財布に出し入れしている間にすませてしまいます。
 しかし、ニューヨークで洋服を買った場合、洋服は適当にたたまれ、例のあまり質のいいとはいえないビニール袋に入れてレジのカウンターにぼさっと置かれます。お金を払ったら自分で持っていけって感じなのです。
 洋服にしろ雑貨にしろ、買った商品を店員さんが手渡してくれたことは一度もありませんでした。

 また、ニューヨークのマクドナルドへは何度か行きましたがこちらも日本とは大違いです。私はニューヨークへ来て思いました。日本のマクドナルドのサービスは世界一に違いないと。「いらっしゃいませこんにちは〜!」「ありがとうございました〜!」この挨拶、きっと世界中にあるマクドナルドでも日本だけではないでしょうか。
 つまり、ニューヨークのマクドナルドの店員はその常識からいくとおそろしく無愛想なのです。レジにいるのは日本のマクドナルドと同じように10代から20代の女の子ですが、にこりともしません。こちらは英語もたどたどしくあたふたしながら注文しているというのに、彼女達はえらい早口で「How many?」とか「Stay or go」(だったかな)などとぶっきらぼうに質問してくるのです。
 この日本との違いに、接客サービスなどおかまいなしの合理主義なニューヨーカーの大ざっぱさを感じたのでした。



ニューヨーカーの基本は「おかまいなし」

 私がニューヨークで出会った人々のことをあれこれ書いてみましたが、彼らにみな共通して言えること、それは「おかまいなし」な精神なのです。公衆トイレの個室の壁やドアは隣の人の足が見えるくらい高く開いていますが、みなまったく気にしていません。日本の女の人は用達し中に音が聞こえないよう水を流したりしますが、ニューヨークでは聞こえたって全然かまわないのです。
 信号を守らない歩行者も、流行に左右されないファッションも、愛想を振りまかないマクドナルドのお姉さんも、ようは他人のことなどおかまいなしなのでしょう。

 そんなことに気がつき、そして日本人はなんて人目を気にする民族なのだろうと気付きました。「こんな格好をしていたらみんなに変に思われるのではないか」とか「こんなことをしたら相手がいやな思いをするのではないか」とか・・・。しかし、私はそんな文化の中で育ってきた100パーセントの日本人です。むしろ「おかまいなし」のニューヨーカーよりも、きめ細やかな精神を持った日本人はなんて繊細ですばらしいのだろうと感じたのです。

 文化の違いとはなんておもしろいものでしょう。この旅行は単なる観光旅行でなく、文化の違いと日本のすばらしさを私に気付かせてくれたとても意味深い旅行となりました。そしてたったの一週間でしたが、ニューヨークという街はとても魅力的で奥深く、次に海外へ行くときにもまたニューヨークへ行きたいと思わせるスリリングでエキサイティングな旅行でもありました。
 次にニューヨークを訪れたとき、また違ったニューヨークが私を迎えてくれることでしょう。
 


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